石王丸公認会計士事務所

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知っておくと役に立つ会計や監査に関する情報を随時掲載しています。

No.60 押印廃止…哀しきハンコたち

2021-09-18
他の様々な書類と同様、従来、監査報告書には、公認会計士又は監査法人の代表者が「自署し、かつ、自己の印を押さなければならない」ものとされていました(改正前・公認会計士法施行規則第69条など)。
この「押印」が、令和3年9月1日から廃止されることになりました。
近年のデジタル化の進展に加え、コロナ禍において関係者にリモート対応が迫られたことが、押印廃止を後押ししたと考えられます。
多くの書面で不要とされつつある「ハンコ」。 押印されていることが信頼や信用につながるという日本独特の文化は、このまま薄れていくのかもしれません。

なお、令和3年5月に公布された「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律」により、監査報告書も含めた多くの手続について、押印が不要とされたほか、書面の交付も電磁的方法により行うことが可能になりました。
監査報告書については、被監査会社の承諾を得た場合に、監査報告書の発行を電磁的方法で行うことができます。
ただし、この被監査会社の承諾は、口頭ではなく、書面又は電磁的方法によることが必要とされているので(公認会計士法施行規則第12条の2第1項、第24条の2第1項)、書面を整える手間は増えることになりそうです。

【某社経理部長のコメント】
「また書面が増えるの?勘弁してよ!」




No.59 「収益の分解情報」…収益をどれくらい分解するのか?

2021-08-31
2021年4月1日以後開始する事業年度の期首から収益認識会計基準が本適用となり、第1四半期から「収益の分解情報」の注記が求められています。
損益計算書における収益の内訳を開示する注記ですが、収益をどの程度分解するのかという点については、「企業の実態に即した事実及び状況に応じて決定する」ものとされています。
その具体的な検討にあたっては、
 ・財務諸表外で開示している情報(例:決算発表資料、年次報告書、投資家向けの説明資料)
 ・最高経営意思決定機関が業績評価を行うために定期的に検討している情報
なども考慮するものとされています(収益認識会計基準適用指針106-3・106-4)。
つまり、例えば、投資家向けの決算説明会資料などにおいて、収益を細かく分解して内訳開示しているような場合には、それとの整合性も考慮したうえで、財務諸表における「収益の分解情報」の開示の在り方を決めることになります。
こうした財務諸表以外の情報については、財務諸表の作成部署が直接作成していないケースや、財務諸表の作成時よりも後に集計しているケースもあると考えられるため、 「収益の分解情報」の開示の在り方を検討するにあたっては総合的な視点も求められそうです。

【某社経理部長のコメント】
「総合的な視点…、ようやくオレの出番だな!」




No.58 「収益の分解情報」に着目!

2021-08-21
2021年4月1日以後開始する事業年度の期首から、収益認識会計基準が本適用となり、第1四半期から「収益の分解情報」の注記が求められています。
この注記の趣旨は、損益計算書における収益の「内訳」を財務諸表利用者が理解できるように開示することにあります(収益認識会計基準174項)。
早速、2021年6月末第1四半期の開示例を見てみましょう!(マルハニチロ㈱ 2021年6月末 第1四半期報告書より)


損益計算書の売上高の内訳が、複数の視点で開示されています。
これまでも、セグメント情報の注記において売上高に関する内訳が開示されていたものの、それ以上詳細な内訳は財務諸表の注記としては開示されていませんでした。
「収益の分解情報」に着目すると、新しい発見がありそうです。

【某社経理部長のコメント】
「老眼なのに、細かい数字を集計する苦労もわかってくれよ。」




No.57 「かもめ~る」貯蔵されていませんか?

2021-07-15
郵便局の窓口で「かもめ~るを1枚ください」と言ったところ、「ありません!」とのこと。えっ?
日本郵便は、暑中見舞い用のくじ付きはがき「かもめ~る」を2021年に廃止しました。
デジタル化の進展で発行枚数が減少していたうえ、昨年の夏はコロナの影響も追い打ちをかけたようです。
(「かもめーる」でなく「かもめ~る」なあたりが昭和感たっぷりで、個人的には好きですが…。)

ちなみに、会社がハガキを購入した際には「通信費」の科目で会計処理し、期末に残った分を「貯蔵品」に振り替えるのが一般的です。
もし昨年度までの「かもめ~る」が残っていれば、文字通り、「お蔵入り」アイテムということになりそうです。
ハガキや切手の利用減が進めば、こうした会計処理自体もあまり見かけなくなるかもしれません。

【某社経理部長のコメント】
「会社に届いた「かもめ~る」のくじをチェックするのが趣味だったのに!当たったことないけど。」




No.56 リモート棚卸立会…3月末の『ミッション・インポッシブル』?

2021-01-12
ターゲットが大事なモノを数えているところをドローンで撮影する。
…映画『ミッション・インポッシブル』のワンシーンのようですが、この3月末、こんな光景があなたの会社で繰り広げられるかもしれません。

日本公認会計士協会より、新型感染症拡大を踏まえた対応として、リモートワーク対応第2号「リモート棚卸立会の留意事項」という資料が公表されています。
財務諸表監査では、通常、「棚卸立会」を行います。通常の「棚卸立会」とは、会社が行う実地棚卸の現場に監査人が赴いて、棚卸の実施状況、棚卸資産の実在性や状態などを確かめることを言います。
一方、公表された資料では、会社が行う実地棚卸の状況をビデオカメラやドローンで撮影し、監査人に実況を送信するといった「リモート棚卸立会」が取り上げられています。
映画さながらに(?)、
「スマホの位置情報を利用して、棚卸の映像の送信元が、監査人が対象として選んだ場所かを確かめる」
などといった、様々な留意事項が説明されています。

一般用語の「立ち会う」という言葉は、「物事の成り行きや結果を見守るために”その場にいる”」という意味です。
感染症拡大が続く中、棚卸に実際に立会うことができないケースがあるのは仕方ありませんが、 監査上の「棚卸立会」も、実際に現場に行って直接様子を見たり担当者と話したりすることそのものにも、大きな意義があります。
通常の「棚卸立会」を行える状況が、少しでも早く訪れるとよいですね。


【某社経理部長のコメント】
「ドローン操縦は俺に任せろ!密を避けて河原で特訓だ!」




No.55 『その他の記載内容』はどこか?

2020-12-07
2020年11月に監査基準の改訂が行われました。改訂により、2022年3月決算に係る財務諸表の監査から、監査報告書に新しい区分が設けられます。
新しい区分は…、その名も『その他の記載内容』です!!
???
何を指すのかわかりにくいですが、『その他の記載内容』は、『監査した財務諸表を含む開示書類のうち当該財務諸表と監査報告書とを除いた部分の記載内容』のことを言います。
有価証券報告書を例にすると、

 第一部 企業情報
  第1 企業の概況
  第2 事業の状況
   …
  第5 経理の状況
    連結財務諸表・財務諸表 ←監査対象はココ!!
   …
 監査報告書

青色以外は『その他の記載内容』なので、有価証券報告書のうちのかなりのページ数は『その他の記載内容』ということになります。
改訂により、以下が明確化されています。
・監査人は、その他の記載内容と財務諸表又は監査人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうかについて検討する
・監査人は、財務諸表や監査の過程で得た知識に関連しないその他の記載内容についても、重要な誤りの兆候に注意を払う
また、監査報告書の『その他の記載内容』の区分に、その他の記載内容に対して監査人は意見を表明するものではない旨などを記載することになります。


【某社経理部長のコメント】
「前半部分も一生懸命書いてるのに、『その他』なのかぁ。」




No.54 『脱ハンコ』の波紋はどこまで?

2020-10-31
『脱ハンコ』論が世間をにぎわせています。
重要な書類にハンコはつきものですが、ご多分にもれず監査報告書でもハンコが用いられており、監査人は監査報告書に自署してハンコを押すことになっています。
公認会計士法では、
「監査法人が会社その他の者の財務書類について証明をする場合には、当該証明に係る業務を執行した社員は、当該証明書にその資格を表示して自署し、かつ、自己の印を押さなければならない」
と規定されているほか、財務諸表等の監査証明に関する内閣府令にも同様の定めがあります。 会社法においては会計監査報告への自署・押印に関する定めはありませんが、公認会計士法を踏まえ、監査報告書に自署・押印し、監査報告書と計算書類を一緒に袋綴じする実務が行われてきました。
しかし、2020年3月決算では、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、この点について柔軟な対応がとられたようです。
2020年5月には日本公認会計士協会から「監査業務における署名・押印に関する実務対応について」という文書が公表されており、
・監査対象会社に対して、記名+㊞を記載した監査報告書を改竄不能な電子媒体にして電子メール等の方法で提出する
・計算書類と監査報告書のファイルを PDF で結合した上で、修正不能な設定とする
などの実務対応が挙げられています。

『脱ハンコ』の波は監査報告書にも押し寄せてくるのか?今後の動向に注目です。


【某社経理部長のコメント】
「卑弥呼の時代にもハンコがあったんだから、すぐにはなくならないんじゃない?金印ならどんどん押したい!」




No.53 四半期財務諸表における有価証券の減損処理

2020-10-07
日本郵政㈱が2021年3月期第2四半期(2020年9月)の個別決算において、
 関係会社株式評価損 約3兆円(!)
を計上すると発表しました。
保有する㈱ゆうちょ銀行の株価が著しく下落したための減損処理による評価損です。
日本郵政㈱の場合、㈱ゆうちょ銀行は連結子会社なので連結決算上の影響はありませんが、 配当は個別決算に基づいて行うことから、巨額の評価損計上により今後の配当原資がどうなるのか、注目されています。
そこで今回は、四半期財務諸表における有価証券の減損処理についてまとめました。

四半期財務諸表における有価証券の減損処理としては、
 ① 四半期切放法
 ② 四半期洗替法
の選択適用が認められます。(原則として継続適用。)
四半期洗替法による場合、評価損は翌四半期会計期間の期首に戻し入れ、その後は、戻し入れた後の帳簿価額を基準に、時価等と比較して減損の要否を判断します。 つまり、四半期洗替法による場合、四半期末で減損処理を行っても、株価次第で年度末までに戻入れが発生する可能性があります。

【事例】㈱ホテルニューグランド
 2019年11月期第3四半期…投資有価証券評価損 40,485千円(減損処理による評価損)
 2019年11月期(通期)…投資有価証券評価損 ゼロ(株価回復により第3四半期の評価損は戻入れ)

日本郵政㈱も洗替法を採用しているので、年度末までに㈱ゆうちょ銀行の株価が上がった場合には、関係会社株式評価損の額が少なくなる可能性も考えられます。 仮に減損不要な水準まで株価が大きく回復すれば、評価損を全額戻し入れる可能性も絶対ないとは言えないわけです。
下半期の㈱ゆうちょ銀行の株価の動向が気になりますね。

なお、四半期財務諸表における固定資産の減損については、そもそも減損の存在が相当程度確実な場合に限って行われることなどから、年度末に減損損失を戻し入れることは認められません。


【某社経理部長のコメント】
「うちの会社にも、できることなら戻し入れたい損失がたくさんあるぞ!」



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トピックス No.47~52
トピックス No.41~46
トピックス No.31~40
トピックス No.21~30
トピックス No.11~20
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