非連結子会社吸収合併時の抱合せ株式消滅差損益

経営効率化を目的に、親会社が100%子会社を吸収合併することがあります。
その100%子会社が非連結子会社である場合、連結財務諸表での処理方法にバラツキがあるようです。有価証券報告書から判断しうる限りにおいてですが、個別財務諸表で計上される抱合せ株式消滅差損益について、連結上消去しないケースと消去するケースの2つが確認できます。

個別財務諸表においては、連結子会社であっても非連結子会社であっても、親会社が受け入れる子会社の資産・負債の純額と親会社の保有している子会社株式の差額が、抱合せ株式消滅差損益になります。
仕訳で示すなら、以下のとおりです(差益のケース)。

(借)諸資産
(貸)諸負債
(貸)子会社株式
(貸)抱合せ株式消滅差益

合併後も他の連結子会社があることにより連結財務諸表を作成するとの前提で、この子会社が連結子会社であれば、当該合併は内部取引につき連結財務諸表には影響が及びません。したがって、連結仕訳で抱合せ株式消滅差益を利益剰余金に振ります。

これに対して、この子会社が非連結子会社であった場合、連結仕訳なしとすれば、連結財務諸表でも抱合せ株式消滅差益が単純合算の結果として計上されます。そうではなく、この吸収合併による会計上の実態を非連結子会社の連結子会社化と考えると、抱合せ株式消滅差益を利益剰余金とします。その場合、抱合せ株式消滅差益は連結損益計算書に計上されません。処理のバラツキはこのように説明がつきそうです。

抱合せ株式消滅差損益は金額的に大きいケースもあります。会社がどのように処理しているかについて、関心を持つ価値はあると思います。

某社経理部長のコメント

そもそも非連結にしていたということは、その会社に重要性がないということだから、上記どちらの処理をしても大勢に影響ないかもしれないな。