プライム 英文開示の義務化へ…「四半期」の略記を考える

東京証券取引所は、2025年3月以降、プライム市場の上場企業に決算情報及び適時開示情報の英文開示を義務化する見通しです。

東証が開催する「市場区分の見直しに関するフォローアップ会議」の第14回(2024年1月17日開催)資料によれば、決算短信・四半期決算短信、決算補足説明資料、適時開示情報について、日本語と同時に英文開示を義務化する方針が示されています。

東証「市場区分の見直しに関するフォローアップ会議」第14回 「プライム市場における英文開示拡充の方針(案)」より抜粋

同会議の第12回資料によれば、現状、プライム上場企業の9割超が決算短信の英文開示を行っているものの、開示のタイミングが日英同時ないし同日であるのは5割程度にとどまっています。
また、決算説明会資料については、英文開示を行っていない企業も2割弱あります。

某社経理部長

現状を考えると、特に説明会資料については、日英の同時開示は大変そうだなぁ。

ところで、決算説明会資料ではいろいろな略記が用いられていますね。
四半期決算説明会資料でよく見かけるのは「1Q」「2Q」「3Q」「4Q」という表記。Qは「quarter」を指し、第1四半期を「1Q」と略記するのはおなじみのスタイルです。
例えば、こちらの決算説明会資料でも「3Q」の表現が見られます。

㈱セブン&アイ・ホールディングス「2023年度 第3四半期決算説明資料」より抜粋

しかし、海外の決算説明資料の多くは、第1四半期(the first quarter)を「Q1」と略記しています。日本語とはアルファベットと数字の語順が逆ですね。
こちらの決算説明資料でも、一貫して「Q2」の表現が用いられています。

P&G「Earnings Release Q2 FY 2024 Results」より抜粋

また、例えば、日本語では「2024年度上半期」という語順が一般的ですが、英語では「 H1 FY 2024」という語順が自然です(H1は「the first half」の意)。

それぞれの言語における発想の違いは興味深いものではありますが、決算説明会資料を英文開示する際にこうした調整も行うなら、作成側の負担は大きそうですね。

某社経理部長

第1・第3四半期の四半期報告書が廃止になるから喜んでたのに、思わぬ負担増だなぁ。
ところで、前年比を表す「YoY」って、困っている顔に見えるのは俺だけか?

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