防衛特別法人税で増える「別表一 次葉」~紙文化が残る申告書の世界

令和8年4月以後に開始する事業年度から、新たに「防衛特別法人税」が創設されます。これに伴い、法人税申告書の「別表一 次葉」は従来よりもう1枚増えることになります。

防衛特別法人税の概要

防衛特別法人税は、原則としてすべての法人が対象です。「基準法人税額(※)」から年500万円の基礎控除額を差し引いた金額に税率4%を乗じて計算します。
※「基準法人税額」:所得税額控除などの特例を適用しないで算出した法人税額

防衛特別法人税は、法人税及び地方法人税と一体の様式で申告されます(国税庁「防衛特別法人税が創設されました」)。
防衛特別法人税の計算内容は、別表一の「次葉一」に記載する形式となり、従来の「次葉一」(法人税・地方法人税の計算)は「次葉二」に繰り下がります。
これにより、令和8年4月1日以後に開始する事業年度の申告書では、別表一は「本体」「次葉一」「次葉二」の計3枚となります。

なお、計算の結果、防衛特別法人税が0円となる場合でも、防衛特別法人税の確定申告書は提出が必要です。したがって、別表一「次葉一」も省略せずに提出しなければなりません。

「次葉」と「次頁」の違い

この「次葉」という用語は、税務申告書では当然のように使われるものの、日常ではあまり見かけません。

某社経理部長

「次頁(次ページ)」のほうをよく使うよね。

「次葉」と「次頁」はどちらも「次のページ」を意味しますが、使われる文脈には微妙な違いがあります。

」は紙の一枚を指す古い日本語です。「次葉」は、紙そのものを1枚単位で扱う文書――税務申告書や申請書などに用いられます。
税務申告書は冊子として綴じられるものではなく、1枚ずつの紙を束ねて管理するものであるため、「次葉」という表現が自然に定着したと考えられます。

一方、「頁」は、明治期に欧文の “page” を訳す際に当てられた漢字です。“page”に「頁」という字を当てた理由には諸説あるようですが、「次頁」は(ページという)体系的な構造を持つ文書で使われることが多い印象を受けます。

某社経理部長

試験問題では「次頁に続く」という指示を見かけるね。ページ順が意味を持つ“冊子型”の資料だからだろう。

現在はe-Taxによる電子申告が主流となりましたが、税務申告書における「次葉」という表現は、税務の世界における「紙」文化の名残と言えるでしょう。