持分法における負ののれんの税効果

持分法における負ののれんの仕訳処理は次のとおりです。

A社株式XXX/持分法による投資損益XXX

この結果、投資会社における持分法上の投資価額がその分増加し、投資会社の個別貸借対照表上の投資簿価を上回ります。この差異は、投資会社が当該投資を売却することにより解消されますが、その際、個別貸借対照表上の簿価が小さいことにより、個別上の売却益がその分大きくなり、持分法上の売却益をその分増額することにより両者が一致するという関係が見出されます。すなわち、連結固有の将来加算一時差異です。

これについて繰延税金負債を計上するかというと、「投資会社が、その投資の売却を自ら決めることができることを前提として予測可能な将来の期間に売却する意思がない場合には、当該一時差異に対しては繰延税金資産又は繰延税金負債を計上しない」(会計制度委員会報告第9号持分法会計に関する実務指針29項)とされています。
つまり、通常は、負ののれん発生益について税効果の計上はないというわけです。

さて、以上から、持分法における負ののれん発生益の計上がなされた企業の連結損益計算書においては、表面税率が低く抑えられます。負ののれん発生益が税引後利益に対してフルに(税効果を引かれずに)押し上げ効果を発揮するためです。
持分法による負ののれん発生益の計上が見込まれる場合は、このことも考慮に入れて税引後利益(1株当たり利益に直結)の予想を読む必要があります。

某社経理部長のコメント

一方で、キャッシュの流入を伴わないから営業キャッシュ・フローには貢献しないという点もあるが、そのほうが大事かもな。