利益準備金の額の減少の中止

ある会社の1Q四半期決算短信で、珍しい追加情報を見かけました。「利益準備金の額の減少の中止」という内容です。

前期に係る定時株主総会で決議した利益準備金の額の減少について、手続の不備が判明したことからこれを中止するというものです。今後は安定配当実施のため、臨時決算を行う方向との記載もなされています。

詳細は知りませんが、前期有価証券報告書に記載されていた「重要な後発事象」の内容を合わせ読む限り、定時総会での決議は、利益準備金を取り崩してその他利益剰余金(繰越利益剰余金)に振り替え、安定配当を実施するという趣旨だったとみられます。

この会社の自己株式残高は比較的大きいのですが、その自己株式にいわゆるESOP信託に係るものが含まれているようで、分配可能額算定時にマイナスしない取り扱いとなるのか等、外から見ただけではよくわからない部分もあります。

いずれにしても、あまりない注記事例ですので、同様のケースに直面してしまった時のために、頭の片隅に入れておいてもよいかもしれません。

某社経理部長(上の「ある会社」とは関係のない、本ブログ上の架空の人物です)のコメント

会計のみならず、会社法も考慮した実務になるから、いろいろ確認すべきことがありそうで大変だろうな。