「金融商品会計に関する実務指針」改正~VCファンド等への出資持分に関する会計上の取扱い~

2025年3月に「金融商品会計に関する実務指針」の改正が行われています。

今回の改正は、ベンチャーキャピタルファンドに相当する組合等への出資持分に関する会計上の取扱いを見直すものです。

企業が組合等へ出資している場合、その組合等の構成資産が金融資産に該当するなら、「金融商品会計基準」に従って評価し、その組合等への出資に係る会計処理の基礎とします。
そのため、企業が出資している組合等の構成資産が「市場価格のない株式」であれば、その組合等への出資持分は取得原価に基づいて評価することになります。

某社経理部長

「市場価格のない株式」は取得原価を持って貸借対照表価額とするからね。

しかし、近年、ファンドに非上場株式を組み入れた金融商品が増加しており、ベンチャーキャピタルファンドに相当する組合等の構成資産である市場価格のない株式を時価評価できるようにすべきとの要望がありました。これを反映したのが、今回の改正です。

某社経理部長

ファンドに組み入れられた非上場株式を時価評価することで、より多くの資金がベンチャーキャピタルファンドに集まる効果も期待できるんだろうね。

改正後の実務指針では、
要件を満たす組合等への出資は、当該組合等の構成資産に含まれるすべての市場価格のない株式(※)について時価をもって評価し、組合等への出資者の会計処理の基礎とすることができるものとされています。
(※出資者である企業の子会社株式及び関連会社株式は除く。)

この取扱いによる場合、評価差額の持分相当額は純資産の部に計上するものとされています。

この取扱いを適用できるのは、出資している組合等が次の要件を満たす場合に限られます。

  • 組合等の運営者が、出資された財産の運用を業としている者である
  • 組合等の決算において、組合等の構成資産である市場価格のない株式について時価をもって評価している

なお、組合等への出資者である企業は、この取扱いを適用する組合等の選択に関する方針を定め、その方針に基づき、組合等への出資時にこの取扱いの適用対象かどうかを決定します。この取扱いを適用することとした組合等への出資の会計処理は、出資後に取りやめることはできません。

某社経理部長

せっかく改正内容を勉強したけど、うちの会社にこの類の出資はないから、改正による影響はなかった…。
改正があったとき、自社への影響の有無をAIが判定してくれたら、勉強をさぼれるのになぁ。