経常利益が売上高より大きい決算

川崎汽船の2022年度四半期決算が珍しい形になっています。経常利益が売上高より大きいのです。

第1四半期

売上高228,498百万円<経常利益251,645百万円

第2四半期

売上高482,897百万円<経常利益567,540百万円

という具合です。

原因は営業外収益に計上されている「持分法による投資利益」です。

第1四半期は235,389百万円、第2四半期は499,280百万円となっています。

おそらく、そのほとんどは関連会社のOCEAN NETWORK EXPRESS社(以下、ONE社といいます。)が稼いだ利益を持分法で取り込んでいることによるものです。ONE社は、海運大手3社がコンテナ船事業を切り出して統合した会社です(2018年に営業開始)。それ以前は、コンテナ船事業の稼ぎは売上高に計上されていました。

ちなみに、川崎汽船の持分は31%、他2社は、日本郵船38%、商船三井31%(3社とも中間持株会社経由)なので、3社ともONE社を連結対象とはせずに持分法適用対象としています。つまり、3社各社の営業利益には反映されておらず、経常利益を見なければ実質的な営業損益がわからないというわけです。

川崎汽船においては、この傾向はすでに2022年3月期末から顕著に表れており、売上高営業利益率がわずか2.3%だったの対して、自己資本当期純利益率(ROE)はなんと116.5%でした。

川崎汽船の有価証券報告書で関連当事者情報の注記を見るとわかるのですが、ONE社の直近(2021年度)の決算は売上高3,683,663百万円、当期純利益2,050,560百万円でした。ONE社の売上高利益率は非常に高かったようです。連結制度上あり得ないのですが、仮に川崎汽船がONE社を連結していたら、川崎汽船の売上高利益率(連結ベース)は上昇し、ROEとの不釣り合いはなかったかもしれません。

持分法というのは、最終損益に関しては連結と同じ結果をはじき出してくれますが、それ以外の連結財務諸表項目については違ってくるということが、改めてよくわかる事例です。

某社経理部長のコメント

ちょっと、長すぎるな。最後の1文だけでいいだろ