そごう・西武の売却とセグメント別ROIC
セブン&アイ・ホールディングスが、傘下のそごう・西武の売却を決定したようです。背景や経緯はニュースその他で解説されているので、ここではふれませんが、財務的には次の1点で説明できます。
そごう・西武について、
ROIC<WACC
となっていること。
セブン&アイ・ホールディングスが2021年7月に公表した「中期経営計画2021-2025」には、セブン&アイ・グループのセグメント別ROICと連結WACCが記載されていました。
ROICは投下資本の収益性を表す指標で、WACCは資金調達コストを表す指標です。一般に、2つの指標は以下の大小関係でなければなりません。
ROIC>WACC
ところが、上記資料によると、セブン&アイ・グループの「百貨店・専門店」セグメントのROICは、2020年度から2025年度において、連結WACCを超えることが一度もない計画になっているのです。資金調達コストをまかなえるほどのリターンが得られないという意味です。 セブン&アイ・グループとしては、企業価値向上のため、「ROIC>WACC」という財務基本方針を掲げていますので、結果論のようになってしまいますが、そごう・西武は売却されるべくして売却されたということになります。
某社経理部長のコメント
セグメント別ROICってのは、実はシビアな数字だな。社長がそれを計算しとけなんてオレに言ってきたら、なんかあると思った方がいいかもな