『脱ハンコ』の波紋はどこまで?
『脱ハンコ』論が世間をにぎわせています。
重要な書類にハンコはつきものですが、ご多分にもれず監査報告書でもハンコが用いられており、監査人は監査報告書に自署してハンコを押すことになっています。
公認会計士法では、
「監査法人が会社その他の者の財務書類について証明をする場合には、当該証明に係る業務を執行した社員は、当該証明書にその資格を表示して自署し、かつ、自己の印を押さなければならない」
と規定されているほか、財務諸表等の監査証明に関する内閣府令にも同様の定めがあります。 会社法においては会計監査報告への自署・押印に関する定めはありませんが、公認会計士法を踏まえ、監査報告書に自署・押印し、監査報告書と計算書類を一緒に袋綴じする実務が行われてきました。
しかし、2020年3月決算では、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、この点について柔軟な対応がとられたようです。
2020年5月には日本公認会計士協会から「監査業務における署名・押印に関する実務対応について」という文書が公表されており、
・監査対象会社に対して、記名+㊞を記載した監査報告書を改竄不能な電子媒体にして電子メール等の方法で提出する
・計算書類と監査報告書のファイルを PDF で結合した上で、修正不能な設定とする
などの実務対応が挙げられています。
『脱ハンコ』の波は監査報告書にも押し寄せてくるのか?今後の動向に注目です。
某社経理部長のコメント
卑弥呼の時代にもハンコがあったんだから、すぐにはなくならないんじゃない?金印ならどんどん押したい!