物価高騰による中期経営計画見直しの動き

2022年度に入って、製油業界で中期経営計画を見直す動きが目立っています。背景には物価高騰があり、日本経済の不透明感が増しています。

具体的に見ていきましょう。

業界第2位のJ‐オイルミルズは、2022年11月16日に「中期経営計画の見直し策定のお知らせ」を公表しました。

それによると、2021年5月20日に公表した当初の中期経営計画について、今回、次の見直し(主なもの)を行っています。

・達成年度を2024年度から2026年度に2年延期

・目標値の一つとしていた「売上高」を目標から除外(資本効率の指標であるROIC重視へ)

見直しの理由は、同社の2023年3月期の業績予想と関係があります。直近の四半期決算(2023年3月期2Q、2022年11月8日発表)によると、2023年3月期の業績予想は、売上高260,000百万円となっています。

ところが、当初の中期経営計画では、2024年度の達成目標として売上高220,000百万円を掲げていました。つまり、2年前倒しで目標を達成してしまったのです。前年度に発表した3年後の目標値を、今年度に大幅に超えてしまうという大変珍しい現象です。

これが物価高騰の影響です。

原材料の高騰を販売価格に転嫁することにより、売上高がどんどん伸びているのです。ただし原価も増えるので、利益が出ているわけではありません。同社の2023年3月期2Qは赤字決算となっています。中期経営計画の見直しはこのような中で行われました。

これより半年遡りますが、製油業界トップの日清オイリオグループも、2022年5月11日に中期経営計画を一部変更しています。背景はほぼ同じです。

こちらの場合は、売上高目標を大幅に引き上げたほか、新たにROICを目標値として導入しています。

不透明感の漂う世の中で、売上高よりも資本効率性を志向する流れがはっきりしてきたようです。

某社経理部長のコメント

天ぷら大好きだから、影響が心配だな。オレも中期ダイエット計画を2年先延ばしにして、値上がる前にいっぱい食べておくか。