親会社の個別決算では子会社に対する債権についても貸倒引当金を計上しています。
連結では親会社の子会社に対する債権が消去されるため、貸倒引当金だけが残ってしまいます。
図の例では、親会社の売掛金1000のうち400と貸付金全額が子会社に対するものです。
親会社における貸倒引当金の計上基準は、営業債権が1%、貸付金が50%とします。
親会社はこれらの債権について貸倒引当金54(400×1%+100×50%)を積んでいますが、連結財務諸表ではこれが不要になるので消去します。
↑貸倒引当金を修正しないと、貸倒引当金が過大になってしまいます。
【連結修正仕訳】(税効果は考慮しない場合) | |
(貸倒引当金)54 | (貸倒引当金繰入)54 |
上記のケースとは逆に、子会社が親会社に対して債権を持っている場合もあります。
この場合も同じように、債権に見合う分の貸倒引当金を消去します。
さらに、子会社に非支配株主が存在する場合には、消去した金額のうち、非支配株主に帰属する部分を非支配株主に負担させる必要があります。
【連結修正仕訳】(税効果は考慮しない場合) | |
(貸倒引当金)** | (貸倒引当金繰入)** |
(非支配株主に帰属する当期純利益)** | (非支配株主持分当期変動額)** |
なお、翌期には開始仕訳を行うと同時に、実現仕訳を行っていったん前期の分を戻したうえで、翌期の連結修正仕訳を入れる必要があります。
【連結修正仕訳】(税効果は考慮しない場合) | |
(貸倒引当金)54 | (利益剰余金当期首残高)54 |
(貸倒引当金繰入)54 | (貸倒引当金)54 |
(貸倒引当金)** | (貸倒引当金繰入)** |
※1本目の仕訳は期首の開始仕訳です。開始仕訳については、【基礎編⑩】で解説しています。
税効果を考慮する場合については、連結会計テキスト【実践編①】連結会計特有の税効果 で解説しています。